No.2『アカトリコの砦』

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No.2『アカトリコの砦』

それは当たり前のようにたっていた。 「今日は少し傾いているな」 学者はいつものように計測器で『砦』を調べている それは『アカトリコの砦』と呼ばれていた。 実際は何なのか解らない謎の物体で昨日現れたのかもしれないし ずっと前からあったのかもしれない 全長600メートルにもなる生き物のような物体は馬鹿のように今日もたっている 「先生、怖いです」 学者に心境を伝えた。 『アカトリコの砦』に近づいた人は帰って来なくなる それは魅了した者を飲み込むようであった。 「人は好奇心には勝てないのだよ」 学者の目は爛々と光っていてその言葉が偽りではないことが伺えた。 きっと近いうち学者も『アカトリコの砦』に近づくのだろう 同じ好奇心をもてない私はそんな楽しそうにしている彼を見てとても悲しくなった。 『助手の手記より』
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