第一章 嵐は突如やって来る

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「ポシェットは持っているのにか? その中から収納カプセルが見えるんだが?」 リオの持っている斜めかけバックの中をチラチラと覗き込みながらトーマは言う。 「と、とにかく今の俺の武器はこれなワケ。 買う金もないしな」 バックの中身を隠すように抱え込みリオは少し焦る。 「これだからおのぼりさんは……」 「おっと」 トーマは懐からピンポン玉状の収納カプセルを出しリオに渡す。 突然渡されリオはギリギリでキャッチする。 「使え」 トーマの言葉を聞いてリオは収納カプセルを開ける。 中から銀色に輝く短剣が出てきた。 「使えって、これ大人用だろう? デカすぎ」 短剣を掲げリオはまじまじと見る。 太陽の光に反射し短剣はギラリと光った。 「女剣士がよく使う軽量型の短剣だ」 輝く短剣を指さしトーマは言う。 「そんなのは知ってる。 銀製だから金や銅に比べたら遥かに軽い。 そして切れ味もいい。 何で俺に渡す?」 説明臭く言いながらリオは尋ねた。 「ないよりはいいだろう。 それにお前は『ガキじゃない』んだろう? だったら使えるはずだ」 顔色を変えずにトーマは言う。 「揚げ足とりやがって。 まぁいい。 ありがたく使わせてもらうよ」 そう言いながらリオは腰に短剣を装備する。 「それ人様のだから壊すなよ。 その持ち主、超怖いからな」 何食わぬ顔でトーマは忠告する。 「わ、わかったよ」 トーマの言葉にリオは若干不安を覚えた。
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