第二章 冒険は突然に……。

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「酒場に行くぞ」 トーマは唐突にいう。 「は? 俺の身なりで行けると思うのか?」 急に話が変わりリオは戸惑う。 「俺が同伴だったらいいだろ?」 戸惑うリオなんかお構いなしにトーマは話を進める。 「保護者ぶりやがって……」 トーマの言葉にリオはムッとする。 「ミルクくらいおごってやるよ」 ムッとしてるリオの頭をトーマはポンポンと軽くなでる。 「ガキ扱いすんな! 授乳じゃないんだぞ!」 撫でられたリオはトーマの手を振り払った。 「授乳? とにかく、酒場に行くのだ」 リオの言葉に首を傾げながらも自分の意見をトーマは押し通そうとしている。 「そんなに呑みたいのか?」 トーマの強引さにリオは呆れている。 「そこで踊り子のショーがあるのだ」 平然とトーマは言う。 「それが目当てか? スケベな男だ。 君みたいなポーカーフェイスな男がスケベな場合、むっつりスケベというんだぞ」 上から下までトーマをなめるように見ながらリオは怪訝な顔をする。 「行かなきゃいけないのだ」 何故か強い意志を示すトーマ。 「ハイハイ。 熱狂的なファンなワケな」 トーマの言葉に呆れながらもリオはちゃんと答える。 「大人の言うことは聞いた方がいいぞ」 リオの態度にトーマはムッとする。 「わかったよ。 全く、大人ぶりやがって」 ムッとしているトーマを見ながらリオはため息をつく。 「大人だが? 俺、18歳だし」 さりがなく歳を教えるトーマ。 「(一つ下かよ。 まぁ、こんな姿じゃ信じないだろうがな)」 リオは無言のままトーマをまじまじと見る。 「言い返さないなんて珍しいな」 黙っているリオをトーマは不思議そうに見ている。 「言い返しても倍返しで返ってくるからな。 行こうぜ、酒場」 そう言ってトーマはくるりと背を向けた。 「おう」 不安を覚えつつ、リオはトーマの後をついていった。
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