第二章 冒険は突然に……。

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「当然だ」 トーマは当たり前のように答える。 「何て優雅なんだ」 時折、切れ長の綺麗な金色の瞳でこちらを見ている。 その瞳にリオは思わず見とれてしまった。 「ガキなのに感性豊かだな」 一生懸命踊り子を見るリオをトーマは横目で見る。 「ガキじゃないっての」 踊り子を見ながらもリオはちゃんと反論する。 「そういうことだったな」 ポリポリとトーマは頭をかく。 「そういうことなんだ」 トーマに反論しながらもリオは踊り子に釘付けになっている。 「貧乳」 ボソリとトーマは呟く。 「関係ないだろう?」 踊り子のショーが終わりリオは視線をトーマに移した。 「綺麗なバラには棘があるんだぜ」 遠い目をしてトーマは語る。 「は?」 思わずリオはトーマを凝視する。 「あら? トーマ。 思ったより早く来たわね」 暫くして一人の女性が声をかけてきた。 「まぁな」 驚く様子もなくトーマは普通に答える。 「さっきの踊り子さん? 着替えてたから一瞬わからなかった。 君のことを名前で呼んでるってことは知り合いってのは嘘じゃないんだな」 先ほどの踊り子の登場にリオはビックリする。 チューブトップの身軽な服装に長い赤い髪はポニーテールにしている。 終わって間もないのにあっという間に着替えて現れた踊り子をリオはジロジロ見ている。 「当然だ」 何食わぬ顔でトーマは答える。
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