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「さてさて、お話はこれくらいでそろそろ解散ね」
イオリはパンパンと手を叩いた。
「おう。
お休み」
イオリの合図と同時にトーマは立ち上がる。
「お休みなさい」
ちょっと心配そうにイオリはトーマを見ている。
イオリの視線を気にすることもなくトーマはリオを連れ部屋を出ていった。
***
イオリと別れた後、二人は別室で床についていた。
「……なぁ、トーマ」
天井を見つめたままリオはトーマに話しかける。
「ん?
まだ起きてたのか?」
話しかけられたトーマはゆっくりと目を開けリオを見た。
「あぁ。
トーマはイオリさんの恋人なのか?」
唐突にリオは尋ねる。
「違う。
幼馴染だ。
ちょっと訳アリでな、一緒に旅をしている。
俺の一つ下だし可愛い妹みたいなモンさ」
リオの質問にドギマギしながらも平静を装いトーマは答える。
「商人ってホントなのか?」
次々と質問するリオ。
「俺が偽の商人とでも言いたいのか?」
リオの質問にトーマは少しムッとする。
「いや。
何となく、そこらの商人とは違うような気がしてさ」
トーマをジッと見たままリオは言う。
「……そうか」
リオの言葉に一瞬沈黙ができる。
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