第二章 冒険は突然に……。

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「ただの商人があんな魔力の結晶とか物騒な物持ってるものなのか?」 ゴロリと向きを変えリオはトーマの方を向いた。 「物騒?」 トーマもリオの方を向き聞き返す。 「あれ、俺じゃなくても狙ってるヤツたくさんいるだろ?」 真面目な顔でリオは言う。 「まぁ、巷では『秘宝』と呼ばれてるからな」 リオの言葉に平然とトーマは応える。 「追尾の魔法かけてただろ?」 リオは平然としているトーマを凝視する。 「よくわかったな」 リオの言葉にトーマは少し驚いたような表情をする。 「わかるさ。 追尾の魔法に玉が共鳴してた。 何より俺が持って行った時君が慌てなかったのもそういうことなんだろ?」 思い返しながらリオは言う。 「ホント、お前不思議な奴だな」 大人びた口調で話すリオをトーマはまじまじと見る。 「お互い様だろ。 俺から見たら君だって十分不思議さ」 ジッとトーマを見るリオ。 「ほぅ……」 リオの言葉にトーマは複雑な表情を浮かべる。 「変な事言って悪かったな」 トーマの顔色が変わったのに気付きリオは謝る。 「いや。 気にするな。 まぁ、明日に備えて休もう」 そう言ってトーマは優しくリオに毛布を掛けた。 「あぁ。 お休み」 リオは毛布の中に潜り込む。 「お休み」 ポンポンとトーマはリオを優しく叩いた。 「(この二人には何かがある。 俺の勘が正しければな。 まぁ、俺もホントの事話してないしお互い様か)」 毛布の中でリオは色々と考え込む。 「(コイツ、ホントにただのガキじゃないかもしれない。 俺達と同じ匂いがする。 だとしたら、一緒にいたら危険だ)」 もぞもぞと毛布の中で動くリオを見ながらトーマは少しばかり警戒している。 そして二人は何時しか深い眠りへと落ちていった。
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