第一章 嵐は突如やって来る

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――レッドタウン。 綺麗なレンガ造りの建物が多い。 小さな街だが観光スポットとして色んな人が出入りしている。 「本日は晴天なり。 そろそろこの町も潮時かな」 綺麗な青空に向かって背伸びをする青年がいる。 紺色の癖のかかった短い髪に切れ長の黒い瞳。 シュッとした長身で軽装備。 腰には護身用なのか長剣をつけている。 青年は旅のよろず屋である。 「……いらっしゃいませ」 彼は憂鬱そうに切れ長の瞳を向ける。 彼の目前に一人の女性が現れた。 茶色の腰まで長い髪は下の方でまとめている。 小柄で白いワンピースのよく似合う女性だ。 「わぁ、綺麗……」 女性は髪の色と同じ茶色の瞳を輝かせた。 そして女性は綺麗な透き通った玉のついたブローチを手に取った。 「そいつはな、とある魔術師が護身用に作ったのさ」 青年は女性に説明する。 「護身用?」 不思議そうに女性は首を傾げた。 「持ち主の身に危険が訪れた時、暖かいオーラで守ってくれる。 まあ、一回使いきりだがな」 ジッと彼女を見て青年は補足する。 「素敵ね。 頂くわ。 いくら?」 ブローチが気に入ったのか彼女はブローチをぎゅっと握りしめたまま財布を出した。
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