第三章 事件は突然やってくる!

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「とにかくリオを探しましょう。 きっといるはずよ」 「意外と近くにいるかもしれない」 イオリが先へ進もうとした瞬間、トーマが口を挟む。 「何を根拠に言ってるの?」 トーマの言葉にイオリは首を傾げた。 「前方注目」 表情を変えずにトーマはスッと前方を指さした。 「はい? おやおや……」 イオリはトーマが指す方向に目を向ける。 そこには何処かへトコトコと歩いていっているリオの姿があった。 「ついていこうじゃないか」 イオリの手を引きリオを尾行するトーマ。 「フツーに歩いてるわね」 トコトコと歩くリオをイオリは見つめる。 「俺達に気配を消したの気づかれないようにしていたくせに堂々と歩いている。 これはついてこいと言ってるようなもんじゃないか?」 歩くリオをトーマは目で追う。 「楽しんでない?」 意気揚々とするトーマにイオリは尋ねる。 「楽しんでいるように見えるか?」 グイグイと進みながらトーマは言う。 「見えますねぇ~」 普段は手をつないだりしないトーマが自分の手を引っ張ている事からイオリは楽しんでいると判断した様子。 「黙ってないとばれるぜ」 空いている方の手でトーマは唇に人差し指をあてる。 「ハイハイ」 テンションが上がり気味のトーマにイオリは少し呆れている。
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