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――城前にて――
「何用だ?
子供が一人でここに来るもんじゃない」
リオを尾行していたら城までやってきてしまったトーマとイオリ。
門の前で立ち尽くすリオの前に一人のごっつい兵士が立ち塞いでいる。
「俺はリオだ。
ここを通してくれ」
リオは大人びた口調で言う。
「リオ様と同じ名前でも駄目だ」
リオの名前を聞いて兵士の顔色が変わる。
「だから、俺がそのリオなんだってば!」
立ち塞ぐ兵士にリオは声を荒げた。
「大人しく帰らないと子供でもひどい目に遭うぞ」
兵士はパキポキと指を鳴らす。
「子供相手に青筋立てるなんてみっともないね」
見兼ねたトーマが兵士に話しかける。
「あ?
保護者か?
ちゃんと子供は見てもらわないと困りますな」
ヒクヒクと顔を引きつかせながら兵士はトーマを見ている。
「話、聞いてやれば?」
頭をポリポリとかきながらトーマは面倒くさそうに言う。
「は?」
トーマの言葉に納得がいかない兵士。
「これだから脳みそ筋肉の兵士は困る。
門前払いしないで話聞いてやれっての」
溜息混じりにトーマは言う。
「き、貴様、偉そうに……」
トーマの態度に兵士は腹を立てる。
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