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「数年前、今のように魔物が狂暴化した時色んな町を助け歩いた者たちがいたという。
当時俺は傭兵であちこちに行っていたからそのもの達の事は知らない。
もしかして……君達の事ではないのか?」
リオは当時を思い出しながらトーマとイオリに尋ねた。
「まさか。
俺達はそんな正義の味方ではない。
カッコつけて自分らの命が廃ってしまうならそんな危険な賭けはしないね。
たまに首を突っ込んでしまうのはただ命を粗末にするやつらが許せないだけだ」
淡々とトーマは言う。
「(それはお人よしというんではないのか?)」
トーマの言葉にリオは何か言いたそうな顔をしている。
またトーマに面倒臭がられてしまいそうだった為、リオは言葉を飲んだ。
「モンスターを討伐するのも本当は心が痛いのよ。
同じように生きてるんだもの」
そう言うとイオリはどことなく憂鬱そうな目をした。
「そっか。
それが君達の生き方なんだな」
トーマとイオリの言葉を聞いた王は深くは詮索しなかった。
「そういう事。
じゃあな。
行こう、イオリ」
この場を早く立ち去りたいトーマはイオリに手をグッと引いた。
「あ、うん」
イオリは王様に軽く頭を下げた。
イオリの手を引っ張りながらトーマは王の前を後にした。
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