第一章 嵐は突如やって来る

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――近くの公園―― ベンチに先程の少年がちょこんと座っている。 「おい、ガキ。 何パクってくれやがってるんだ?」 少年の前に青年は仁王立ちで立つ。 「む。 何て速さだ。 追いついたのか?」 青年に追いつかれ少年は少し焦っているようだ。 「俺を誰だと思っているんだ? 商人はな、素早さに長けてるんだ」 何故か少し威張りながら青年は言う。 「聞いたことないなそんな話」 少年は首を傾げた。 「これだから世間知らずのガキは困るんだ」 青年は頭をかきながらため息をつく。 「お前、俺がガキに見えるのか?」 呆れ顔の青年の顔をマジマジと見ながら少年は尋ねた。 「どこからどう見てもガキだな」 少年の質問に青年は更に呆れてしまったようだ。 「違う。 俺は……。 う……」 ベンチから立ち上がって何かを言おうとした少年は頭を抑え地面に倒れ込んだ。 「大丈夫か? どこか悪いのか?」 苦しむ少年を青年は心配そうに見ている。 「……大丈夫だ。 俺が俺の事を話そうとするとこうなるんだ」 よろよろとしながらも起き上がり少年はベンチへと座った。 「呪いか?」 まだ息が荒い少年を見ながら青年は尋ねた。
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