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「じゃあ、鈴村の席は神木坂の隣な」
「はい」
背中まである黒い髪が動くたびに揺れ動く。その姿を男子達は頬を赤らめ見ていた。
「貴方が神木坂さんですか?」
「そうだよ。よろしく、鈴村さん」
誠は、握手しようと手を差し伸べた。
「はい。よろしくお願いします」
彼女はその手を握った。
「んじゃ、後は頼むぜ」
この教師の名は神井卓。まあ、簡単に言ったら面倒な事が嫌い、だな。だが、腕は確かだ。なんせ、あの神井家の当主だ。
神井家、古くからある旧家で頭脳明晰な家系だ。なので、この学園で一番頭が良い。
しかも、この人は魔法師団最高司令部参謀に地位を置く人だ。
殆どの戦いは、この人のおかげで勝っている。本当に凄い人なのだ。
「あの、神木坂さん。もしや、貴方は」
「ええ。貴女が考えている通りですよ」
偽りの笑顔を貼り付けながら答える。
「十神家に会えるだなんて嬉しいです!」
「(ああ、この人もそれが目当てか)」
「それにもしや、あそこの方は十二家の」
彼女が見ていたのは慎二だった。
「そうだよ、彼は霜月慎二。俺の幼馴染だよ」
正直、この様に家系を目当てで来るものは少なくない。ただ、面倒なのだ。
「そう言えば、理事長先生から直々にご指名されたと聞いたんだけど、どうして?」
そう彼女に問うと少し困った顔をした。
「えと、その雷属性が得意で、、多分そのせいです」
雷属性が得意な人は珍しい。攻撃を得意とするため、魔法退魔師にはもってこいだ。
「成る程、それは凄いですね。俺は火属性が得意なので少し羨ましいな」
「そ、そんなっ!」
何故そこで頬を赤らめるのか理解不能だ。
まあ、面倒だったのでその隙にその場を去らせて頂いた。
教室をでて一つ溜息をこぼした。
「どうしたの?」
「姉さん、こんな奴に関わらなくていいよ」
「なんで?」
「馬鹿がうつるからに決まってるじゃん」
「やあ、日和、祈」
「気安く呼ぶな、神木坂誠」
この二人は、神織日和と神織祈だ。
二人は双子で日和が姉で、祈が弟だ。
二人はいつも手を繋いでいる。どうやら、手を繋いでいないと落ち着かないらしい。
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