這いずる音。

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「ひぃぃぃぃぃ――!!?」 私は思わず、肺から空気を絞り出される様な悲鳴を上げた。 私が、その手で潰した何か…それは数匹のゴキブリが積み重なったモノだったからである。 果たして、この事実を目にして平然としていられる者など、居るだろうか? 私はパニックになりながら掛け布団で、手を拭うと電気スタンドを掴み、部屋の周囲を照らした。 そして……私は見てしまう。 悪夢の様な光景を…。 部屋中の床や壁に無数の虫が、這いずり回り蠢く。 その光景は正しく、身の毛のよだつ様な悪夢そのものだった。 しかも、虫と一言に言っても、そこにいるのはゴキブリのみではない。 ゴキブリは勿論だが、ムカデや、ヤツデ。 クモに、毛虫、蛾……etc、etc。 兎に角、数えるのが至難な程の昆虫が室内に溢れていたのである。 「ひぃぃぃぃぃ! 来るな! 来るなぁぁぁぁぁぁ!!」 私はそれを見て錯乱状態になり、虫に向けて枕や電気スタンドを投げ付けた。 室内を木霊する私の叫び声と、何かが壊れる音。 暗闇と言う事もあってか、緊張感と恐怖だけが一気に膨れ上がる。 極度の緊張感。 私はただ、恐怖で身を震わせた。 体は硬直し動かない…。 呼吸も徐々に徐々にと、荒くなり……。 私は――・・・・・。
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