第1章 発端

6/17
前へ
/62ページ
次へ
そして、とうとう母さんが来ることなく 昼の1時を回った頃だった 「大変だー!おーい!みんなー!」 街の喧騒の中で1人、ただならぬ様子で声を上げている 「隣の村が闇族の襲撃にあった!」 喧騒は一瞬静まったかに思えた、しかしすぐに、今度は違う雰囲気の喧騒が始まった 「おい、トナ。聞いたか?」 「うん、聞こえたよ」 「帰るぞ!」 兄さんはすでに冷静ではなかった そしてこの街の人達も 妙に落ち着いている自分がいた 自分の村に限って 自分の家に限って 自分の母さんに限って なにかあるわけない、と 根拠のない自信がそうさせていた 僕らは再び馬車に乗り込んだ
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加