第1章 発端

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「悪ぃな、ここまでしか送れねぇや」 馬車を操縦していたおじさんが申し訳なさそうに 僕らに謝ってきた 「充分です、ありがとうございます」 そう言うと颯爽と馬車を降りて村の方へと駆けていく 途中までしか馬車が通らないところを見ると やはり襲撃がきている事は間違いないだろう さっきまで落ち着いていた自分が嘘のように 焦りと不安を隠せない 嫌な汗が頬を伝う 心臓が大きく脈を打つ 不思議と足が早くなったように感じた 運動の駄目な自分でもこんな体力があったのか と、思う余裕なんてなかった もうすぐ、もうすぐで村につく 小さなこじんまりした門があって 入ってすぐのところには馬小屋があって さらに奥に行けば自分の家が… 目に入ったのは変わり果てた村の姿だった
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