メガネと僕

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ある日の放課後、下校途中に正門の前で突然後ろから僕の名を呼ぶ声がした。 「やまちゃん!」 振り返ると、高木だった。 彼女は僕のことを「やまちゃん」と呼ぶ。同じクラスに小山がもう一人いるから、それと区別してるんだろうと思ってる。 「やまちゃん、元気?」 いつもと変わりない元気な様子に何故だか苛立ちを感じた。 「ふつー」 無愛想に答える僕。 「あのさ、突然だけど、山田っちって付き合ってる人とかいるの?」 突然の質問にはてなマークが頭の中に飛び交う。山田は未だかつて恋人がいないと自負するくらいだから、いないはずだ。 「いないんじゃない」 「そっか。あ、これ山田っちには内緒ね」 人差し指を唇につけながら意味ありげな笑顔を向ける。 「ねー、そういえばなんで最近メガネしてないの?コンタクト?」 「目が疲れたから」 同じ質問を何度もされると、条件反射のように答えがすんなりと出てくる。 「メガネしてない方がいいね」 にんまりと高木は笑う。 高木の笑顔の先に遠藤がこちらに向かって歩いてくる姿が見えた。遠藤がこちらに向かえば向かうだけ、僕の苛立ちは大きくなる。 「じゃ、また」 そっけなく、そう言い残して僕はその場を後にした。
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