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息を吐くと白くなる季節がやってきた。
「もうすぐバレンタインデーだな」
山田は教室の壁にもたれながら、遠くを見ながらため息をつく。僕は帰りの支度をしながら適当に相槌をついた。
「なんて面倒なイベントなんだ」
「がんば」
「なにそれ、ひど。てかさーちょっと聞いてくんね?」
山田が身を乗り出して、僕の顔をまじまじと見つめた。山田は童顔だ。猫みたいな顔をしている。だけど顔と話し方が完全にミスマッチな気がする。
「この間、高木さんと遠藤ってやつに声かけられてLINEのID交換しちゃったんだけど。仲良くなりたいとか言われたんだけど、何でかな」
一瞬、先日の高木との会話が浮かんだがぐっと飲み込んだ。
高木はよくお節介な行動をとる。頼んでもいない心遣いをばらまいたり、僕の心の憶測を強要したりしてくる。
彼女が何を考えてるのかなんて知る由もない。しかも、高木と遠藤と小山の接点なんてほとんど見つからない。
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