――10章 あなたの声が聞きたくて

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「先輩・・・付き合っている人がいるんですか?」 「付き合ってるって言うか・・・大切な人。だから、君には悪いんだけど君を傷つけないように断るのは・・・無理。」  わざと少し大きめの声で断りを入れると廊下の壁にもたれかかった。ここまで言うとキラキラした目をしっかり俺に向けていた彼女は廊下に目を落とした。 「・・・ですよね。すみませんでした。」  謝らせたいわけじゃない。だけど彼女は視線を落としたまま廊下を元へ戻って行った。
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