――10章 あなたの声が聞きたくて

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◇ ◇――環菜  彼女があたしの横を駆け抜けるように走り去って行った。顔は良く見えなかったけど、キラリと光るものがあった。  一つ間違えればそれはあたしだったかもしれない。  あたしはいつまでも彼女の走り去った後姿を目で追っていた。  複雑な思いで見えなくなった彼女の走り去った後をボーっと眺めていると突然、頭をガシッと掴まれた。 「痛い!!!」 「あのな・・・隠れんならもっとうまく隠れろよ。」  あたしの頭をガシッと掴んだ腕の先には湊。 「な・・・なんで?気が付いてた?」 「分かりやすすぎ。」 ばれてないと思ったんだけどな・・・。  ため息と共に湊が頭から手を離した。
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