――10章 あなたの声が聞きたくて

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「環菜・・・。お前が俺の隣にいることに自信がないように、俺だってお前の側にいて不安になることがある。どんなに競っても亡くなった人には勝てないからな・・・。」  思っても見ない言葉だった。死んでしまった将人のことを『忘れなくていい。』って言ったのは湊だった。言葉にはしなかったけど、湊にも心の片隅でわだかまりがあったのだろう。 「だからって・・・将人さんの事忘れろとは言ってないからな。・・・少しだけ、妬いてるだけだよ。」  あたしの顔色を見て慌てて言った。
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