――1章 新たなる日々

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◇  3年になってクラス替えがあったけど、あたしは湊と同じクラスになった。相も変わらず千佳や小夏、篠田君や光岡君といった仲のいいメンバーがほぼ揃っていた。今は家だけでなく学校も心地いい。  事件直後、湊はお母さんに向かってホテルを継ぐことに関して完全に拒否をした。それからお母さんは何も言ってこないことをいいことに、湊はのらりくらりと生活している。 「ねぇ、湊。進路決めたの?」  湊は出席率に関してはそこそこだけど、頭は抜群にいい。目を閉じたままでも東大に入れるんじゃないかって思う程だ。理系・文系を選択するときだって特に何も考えず選択しているように見えた。 「ん・・・。まぁな。」 「え?決めたの?」  呑気にソファに寝転んで雑誌なんか読んでいる湊の真横で必死なあたしは、いつもと変わらず物理の教科書なんか開いていたりする。
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