――1章 新たなる日々

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◇ 数日後・・・。  ここ何日か湊の眉間にしわが寄りっぱなしだ。あえてあたしは何も声をかけなかった。話があれば今の湊なら真っ先にあたしに相談するからだ。物思いにふけりながら口に食事を運ぶ。そんなので食事がおいしいのだろうか?大きなお世話だけど・・・。 「なぁ、環菜。」 「どうしたの?」  湊がお茶をすすりながらあたしに声をかけた。 「明日、学校サボるわ・・・。」  頭がいいくせに適当に学校をさぼる癖がある湊だけど、今回は結構真面目な顔で呟いた。 「明日・・・判決が出る。」  その一言であたしは全てを理解した。湊のお父さんとは腹違いの弟、湊にとっては叔父さんに当たる人があたしの元彼、将人の交通事故と、あたしや湊の命を狙った殺人教唆の罪で裁判を受けていた。湊と出会って1年経つこの時期に判決が出るのは因果を感じる。湊は学校をさぼって度々ある裁判の傍聴に出かけていた。その裁判がとうとう終わるということだ。
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