腐男子によるオメガバースについての考察

7/9
3747人が本棚に入れています
本棚に追加
/572ページ
「三崎議員の三男らしいけど、お前の母親、オメガの愛人なんだってな」  雄太郎はきつく唇を噛んだ。  彼の言うとおり、雄太郎の母親はオメガだ。  父親は国会議員の三崎。アルファである三崎氏には、オメガの愛妾が何人もいる。雄太郎の母親は、その中のひとりだ。  優秀であれば優秀であるほど、アルファは幾人ものオメガを番にする。それがこの世の常識だ。  雄太郎の母親は、こんなクソみたいな世界の犠牲者だった。  生まれつき病弱だった母親が数ヶ月前に亡くなった。  行き場のなくなった雄太郎を引き取ったのは、数えるほどしか顔を合わせたことのない、父親の三崎だった。 「お前、三崎家の厄介者なんだろう? だからここの寄宿舎に入れられたんだって、みんな知ってるぜ」  いつの間にか、雄太郎は壁際に追いやられていた。 「あっ! やめて……!」  ブレザーのボタンが弾け飛ぶ。アルファの級友達はにやつきながら、雄太郎を裸に剥いていく。 「ほら、しゃぶれよ」  目の前に、興奮したそれが突き出された。こんな状況で興奮している彼らを見て、ケダモノ以下だと侮蔑する。しかしもう雄太郎に逃げ場はなく、震える手をそこに添えた。 「んっ……、ううっ……」 「そうそう。大人しくいう事聞いてれば、酷くしないからさ」 「ヤバっ! 次、俺な」  本物のオメガを相手にするのは初めてなのだろう。級友達は好奇と欲情を隠しきれない様子だ。 「あー……。すげえいい。オメガだけあって美人だしな。いい子にしてたら、俺らでずっと可愛がってやるからさ」  口に含みきれない欲を舐りながら、雄太郎はチラリと教室の端を見た。そこには隠しカメラが仕込まれてあった。  雄太郎がこの学校に入学した理由。それは父親のためだ。  父親がスムーズに権力を手にできるよう、邪魔者達の弱みを握ること。それが雄太郎に与えられた使命だった。  
/572ページ

最初のコメントを投稿しよう!