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平日の午前中はそれほど客足は伸びないが、午後に入るとだんだん客の数が増えてくる。
特に夕方は学生や、駅の反対側にあるオフィス街のOLやサラリーマンの姿が目立つ。
夕方、だいたい五時ごろ、新刊が発売されるその日に、コミック売り場に一際異彩を放つ客がやってくる。
いたって普通の男子高校生なのだが、彼が足繁く通う一角では、普通の制服姿の男子はどうしても目立ってしまうのだ。
コミック売り場の奥の方、このあたりではそのジャンルに関しては、品揃え、売り場面積共にこの書店に敵う店はない、と出版社の営業が口を揃えて言う。
ひっそりと、しかし確実に固定の客がしっかりとついているそのジャンル。
ボーイズラブのコーナーで、その男子高校生の姿はあまりにも不似合いだと、由幸は思った。
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