記憶

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ただ 怖かった。 よその人の前に曝け出すなんて、恥ずかしいことだと大人に教えてられてきたのに。 あろうことか 大人である美咲ママが勝手に〝僕〟を引き摺り出しているんだ。 美咲ママは恍惚の表情を浮かべ 〝僕〟に執着する。 「あぁ…可愛い」 「私ね、ずっと博樹くんをこうしたかったのよ」 「もう少し博樹くんが大人だったら、これで私を」 意味が わからない。 「美咲ママ、やめて」 「あとちょっと。ね、あとちょっとだけ。こうしたら?気持ちいい?」 「気持ち悪い…もうやめてよ!母さんに言いつけるよ!」 「まぁ…お母さんに言ったらダメよ…きっと私とお母さん、喧嘩になっちゃう。そんなの悲しいでしょ?」 美咲ママは、口も手も休めずに薄っすらと笑う。 「博樹くんが黙っていれば、何も変わらないのよ」
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