1132人が本棚に入れています
本棚に追加
/255ページ
それを無視して俺に迫り、菓子が山盛り乗ったボウルを俺へと投げた。
コントロールはなかなか。見事に頭へクリーンヒットだが、所詮ガキの力じゃ痛くも痒くもない。
「Xはチカに初めてお仕事をくれた。それがパパを殺すこと。
守るために殺す、それの何がいけないの?あなただって同じように仲間を守って殺すでしょ?」
「…確かに。」
「これはチカがやらなきゃいけないお仕事。だからパパのいる場所を教えなさい!」
「…俺は、こんなガキに父親を殺せと命令するXの神経を疑うがな。
…見ろよ、お前の周り。ドン引きじゃねぇか。」
「……………」
「こいつらの年齢から言って、お前くらいの子供がいてもおかしくないからな。重ね見られてるんだろ。」
「うるさいってば!」
そして更なる集中打。
椅子の周りには俺の血飛沫が舞う。
それを冷めた目で見る江原チカもどうかなってる神経だろう。
「言う気になった?」
「…ハッ…ハッ…ハッ…」
「言う気になったって聞いてるの!」
「…いいや?…全然。」
「…このぉ!」
「それよりそこの携帯、鳴ってたけど見なくていいのか?お前のボスかもよ?」
「……………」
乱暴に解放された髪。
ガクンと項垂れると、小さな足がテーブルに向かって歩いていく。
その間に酸素を大量に取り入れ、急ぎ呼吸を整える。
そうしてチラリと江原チカを見る。
携帯を見て、目を見開く姿がそこにあった。
最初のコメントを投稿しよう!