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俺のような仕事に欠かせないものは、知識と技術だ。
それは、偽装工作に大いに力を発揮する。
PSPは"クロス"と呼ばれる個人認証システムを常に持っている。
クロスを持っているだけで、一般人は簡単に心を許してしまうほどPSPの信頼度は高いのだ。
それを逆手にとることが今回の作戦。
翌日14時28分、緊急指令に揃って出動したのを確認し、そのまま調べがついている保育園へ向かった。
到着する50m手前からダッシュし、演技も加える。
「すみません!すみません!」
息を荒げ、声は緊迫した感じに。
すると中から出てきた一人の女。続いてもう一人の女と男が一人ずつ。
「どうされました?」
「隊長の…いや、えっと、緊急時で…」
「落ち着いて、ゆっくり話してください。ね?」
わざとらしく緊迫感を出し、わざとらしく焦りを見せ、わざとらしく深呼吸を数回。
こういう演技をする自分が笑えてくるが。
「…すみません。焦ってしまって。」
「いいんですよ。…それ、あなたはPSPの方ですね?」
首から下げるクロス。ダッシュしたときに服の外へ出されたらしい。
いいタイミングで、しかも仕掛けたものを相手側から言わせることができて、やり易くなったと心でほくそ笑む。
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