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いや、こいつらはアホかもしれないと思ったのはそんな昔の話じゃない。動揺はしない。
たとえ腕の中にいる子供が"ちゅー!"と連呼しようが。
しかし、敵を前にこの余裕。
倉原心はともかく、大崎蒼依の自信の表れとも取れる行動に、若干汗を握ったのは仕方ない。
「言ったろ?俺は誰も死なせない。仲間も家族も俺が守る。いいな?」
「………ん。」
「…さてと。」
ゆっくりと俺に視線を向けた大崎。
笑顔とは裏腹に大きくなっていく殺気を感じてしまえば、全身の毛穴が開いたと思うほど。
…この俺が、恐怖だと感じている。
「花音を使ったのは誉めてやる。その子は俺の弱点だ。よく調べているな。これ以上ないほど、人質として最高の人物だ。」
「……………」
「だからこそ地雷でもある。」
「……………」
「…うちの奥さんが心配性でな。その子を保育園に預けると決めたとき、発信器を毎日身に付けさせた。
ここに来るのが早かっただろ?PSPの情報網だから、という理由ではなく、単純に発信器を追ってどこに向かっているか先読みしてただけだ。」
「…は、なるほど。」
「…で?INEVITABLE.どうする?今の俺は手加減なんて出来ないかもしれないぞ。
まだ自我を保っているうちにそいつを離し消えるか、お前が消えるか、選ん」
もちろん、大人しくするわけがない。
なんとしても逃げなければ。
大崎の言葉を待たずにダッシュ。
そして、
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