INEVITABLE

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本来ならピアノ線が正解。

テグスに比べ強度があり、殺すにはもってこいの道具の一つだ。

敢えてそれを選択しなかったのは、無抵抗のターゲット以外を殺すことはしないという俺のルールゆえ。

それに、テグスも種類があり、俺が使ってるのは強度もあるが伸縮が抜群にあるからだ。

花音を抱き、負担をかけないように花音の周りのテグスを緩め、その先のテグスを強く引っ張れば

「「ぐっ！！」」

「「蒼依！心！」」

…この通り。

だが、こんな不利な状況でも、この二人は娘を助け出すだろう。

では、どうやって？

…そこまで思考が追い付かない。

あらゆる反撃を相殺し、且つ攻撃へ移す能力は、俺より遥かに上だ。

「…なんだ？これで終わりか？」

「……………」

その不敵な笑みがゾクゾクする。

…だったら、こういうのはどうだ？

ニヤリと笑った俺は花音の背中、その服を鷲掴みにすると、柵の上に立った。

背後の眼下は広がる海。

腕を伸ばし、花音を俺の真後ろへ。