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言われた通りに永橋主任のところに行けば、待ち構えてたと言わんばかりにコーヒーが出された。 それを一口飲み、顔を上げる。 …嫌味ったらしいその笑顔が目に写り。 「…黒川。さっきは」 「もういいっすか。耳タコなんで。」 「ブハッ!」 大崎蒼依との一戦は、リアルタイムで状況を知っていた"ボス"が既に拡散しているのだろう。 PSPの力量、そして組織への警告。 さらに言えば、Xへの宣戦布告として。 笑いが収まった永橋主任が椅子を回転させて真面目に向き合ったのは、貰った資料を読み出して2,3分費やしたあとだった。 「Xのことだろ?テロの。」 「はい。」 「ボスから資料を貰ったんだな。それ、俺が書いた報告書。」 「じゃあ、永橋主任がXと断定したんですか。」 「まぁね。お前だけがXをターゲットにしてるわけではない。奴は組織にとって厄介者であることに変わりないからな。」 確かに、無謀なことを繰り返すXは、犯罪に手を突っ込んでいる組織にとって消したいものだろう。 警察に睨まれないよう静かに過ごしたい組織からすれば、派手すぎるパフォーマンスだ。 「主任は手口や犯行声明だけで決めたんですか。」 「拘るね、黒川。」 「当たり前です。さっき"ボス"から電話があったんですが、知ってたんですよ。 妙な胸騒ぎと違和感があるんです。」 「賢いね。…払拭してやろうか?」
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