5/36
前へ
/255ページ
次へ
ニヤリと笑った主任の顔を見た。 その裏の心理はどうやら俺の揺さぶり。 「別にいいです。」 「そう?」 「俺の考えが正解のようなんで。」 「…賢いね。黒川。用心するに越したことはないが、お前なら上手くやり過ごすだろう。 とりあえず、裏は取れてるとだけ言っておこうかな。じゃ、本題。」 "ボス"を切るのは今じゃない。永橋の思惑というか、ボスの意向だろう。 それまで危険を犯してでも泳がせるべきなのだ。 悩ませるものが一つ増え、心で溜め息を吐いた。 「発信元をトレースした。」 「えっ!?出来たんですか?」 「…恵が地道に。ホント、参るよね。どうやって特定したんだか。世界中の諜報機関が手をこまねいてるってのにな。」 「それで?」 「実は日本のネットカフェ。」 「じゃあ奴は今日本にいる?」 「ビンゴ。ゆえに?」 「…奴は組織を持っていて、その部下は世界中にいる…」 「マーベラス。Xはお前のような存在じゃない。ただの破壊組織だ。」 「ちょっと待ってください。だったら今までのことはなぜ?」 「そこはお前と同じだと俺は思っている。つまり、何かの目的があって犯行を繰り返す。」 新事実に頭がクラッとした。 恐らくボスは、Xの組織自体を邪魔物として潰そうとしている。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1135人が本棚に入れています
本棚に追加