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そしてもう一つ。 「主任、恵さんは?」 「恵がどうした。」 「断定したってことですよね。Xを。」 「…賢いね。…そう。目星はずっと一人だったけど、今回のことで確信したみたいだね。 こうなりゃ行動は早いぞ?何せボスがついてるからな。」 「ボスは行動制限させないんですか。今はまだ時じゃないでしょ。」 「その通り。そこでお前の出番。恵より先にXを捕らえてくれない?」 「捕らえる?また難題を。それは出来ませんよ。」 「…言ってみただけだ。とりあえず、こっちの出方次第でPSPも動くことになるだろうし、お前も用心に越したことはない。」 「分かってます。」 …この人の一言一句はヒントになる。 聞き逃さないよう、細心の注意を払って耳を傾け記憶する。 それ以上に気になる恵さんとボスの動向。 どうやらすべての動きが活発化している。 ボスとの契約も最終段階に入っている。 「主任、そういえばこの人知ってますか。今日依頼が来たんですが。」 「んー?…長谷部?聞いたことあるな。」 「帰還兵です。この人。」 「帰還兵……ああ!半年前にフィリピンかどこかで生きてると判明したあの日本兵!」 「はい。そいつを殺せと。どういうことだと思いますか。」
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