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高らかに笑いつつ電話は切れた。 …さて、どうしたもんかと思っていると、写真が添付されたメールが送られてきた。 「…これは…城ヶ島…ですね。」 「だろうね。ここにいるってことか。どうすんの?」 「もちろん、助けに向かいますよ。"彼女"ですから当然です。」 「愛の力は凄いな。…で?具体的には?正面から行く気か?」 「もちろん。下手に小細工したら、せっかくINEVITABLEを隠したのに意味がない。」 「確かに。でも、ボスには一応」 「俺なら聞いてたぞ。」 ドアから現れたボス。閉めたそれを背凭れし、腕を組んでこちらを見た。 「ボス、若干ストーカー入ってるね。」 「誰がストーカーだ。永橋は黙ってろ。 黒川、お前の信じているものは何だ。」 「何度も繰り返し言ってますが、まだ言わせますか。」 「確認だ。俺の目を見て言え。」 「自分の目と心です。自分の信念に従って行動するのが俺です。」 「…いいだろう。その信念に聞く。彼女を助けたあとはどうする気だ?」 「…実は、まだ迷っています。」 「理由は。」 「恵さん、ですね。」 「…ハハッ!いい答えだ。恵には俺から言っておこう。」 …やはりボスは誰より怖い。 一言だけで俺は食われる。 と、隣でもクスクス笑っている永橋主任に気付き、その手元にある機械が光っていることにも気付く。 どうやら俺は言わされていただけらしい。 こいつらの頭は、既に算段がある。
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