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ボスのアジトを出ると、数メートル先に制服警官がパトロールしていた。 都合よく登場した願ってもない人物に笑みを浮かべ、表情を引き締め車を降りた。 「あの!ちょっといいですか?」 「はい、どうされました?」 「黒川といいます!俺の…俺の彼女が!」 「落ち着いてください。黒川さん?」 「すみません…助けてください。」 「彼女さんがどうかされましたか?」 「今、電話が…誘拐されたみたいで…場所は城ヶ島だと思います…」 「誘拐ですね?分かりました。本部と連携をとって向かいます。」 「そんなに待ってられるか!俺は先に行く!」 「待ちなさい!黒川さん!」 …ま、こいつらは後からゆっくりサイレンを響かせて来てくれればいい。 再度車に飛び乗った俺は、急いで城ヶ島へと向かう。 その間に考えられるすべてを考える。 数手先を読むと、結構際どい駆け引き。 ただし、失敗は許されない。 走行中、器用にスーツへ着替えて眼鏡をかけ、外務省の黒川永悟に変身する。
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