11/36
前へ
/255ページ
次へ
"ボス"の仕掛けた盗聴器と発信器は外してある。 銃もトランクの奥。 とりあえず、ナイフだけは持って車を降りた。 ここからは忍耐の連続だ。 「美和子ーー!美和子ーー!」 目星のついている建物、そこから三つ離れた場所で大声を出す。 それに気付いた連中は駆け付けてくる。 …ほら、な。 「黒川永悟だな?」 「美和子はどこだ!……ぐっ!」 「黙れ。連れてこい。」 震えさせた両手で握ったナイフを蹴って簡単に取り上げられ、頭を銃身で殴られる。 …この借りは必ず返してやる。 そう思いつつ、引き摺られるように入った場所は、一番に目星をつけていた建物。 いくつものドアを通り、奥へ奥へと入ったとある場所。広いフロアの奥に美和子がいた。 「永悟!」 「美和子!…貴様、美和子を離せ!」 「うるさいな。黙らせろ。」 「きゃぁああああ!永悟!」 (…見切れてる、んだがなぁ…遅ぇ) 蹴られ、殴られ、口から飛ぶ血液と痛さで悶える俺を見て満足したのか、忍耐の時間は2分ほどで終了した。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1135人が本棚に入れています
本棚に追加