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先を予想すれば頭が痛くなる。
ただ、ここで見切るのもいいだろう。
後はあのお節介が動くはずだ。
ゆっくり立ち上がり、ヨロヨロと覚束な足取りで美和子に近付く。
ジャケットを脱ぎ、美和子を包む。
「…美和子…もう大丈夫だよ。」
「…永悟…」
「怖かったな。…もう大丈夫だ。」
身体を撫でながら抱き締める。
美和子は俯きながら無言になり、しばらくしてやっと口を開いた。
「永悟?INEVITABLEって何?」
「…直訳で"逃げられない"って意味だけど、あいつらが使ってたのは人みたいだな。
殺し屋って叫んでた。INEVITABLEっていう殺し屋がいるんだと思う。」
「永悟のこと?」
「うん。なんか勘違いされてたみたいだけどな。迷惑な話だ。」
「…永悟…私…怖くなった…」
「ああ。」
「死ぬかと思った…」
「…遅くなってごめんな。」
「…違う…あのね…?…私…」
「…とりあえず帰ろう。な?風呂入って飯食ってゆっくりしよう。」
「永悟聞いて…永悟、なにか巻き込まれてるんでしょ?」
「…心当たりはないけど。」
「そうなの?…でも、永悟といることが怖くなった…またいつこうなるか分からないって…そう思っちゃった…」
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