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車を走らせ、高速へ。そのサービスエリアに車を滑らせる。 停車後、携帯を取る。 『もしもし。』 「…妙にタイミング良く制服警官がいて利用できました。それから、美和子が別れたいと。」 『…普通の人間ほど心理が読めるものはないな。予想通りの展開だ。 で?お前は傷心中なのか?』 「傷心中ですよ。」 『ハハッ。情でも移ったか?』 「…INEVITABLEには必要な人物ですからね。彼女という存在は、"普通の人間"として溶け込むには最適だ。 扱いは完璧だったはずです。だが、俺が信じる人間は自分だけ。孤高の一匹狼を演じろといったのはあんただボス。」 『酷い男もいたもんだな。』 「所詮美和子はカモフラージュ。最近面倒に思ってたのでちょうど良かった。」 『…その面倒、引き受けよう。まだあるのか?盗聴器は。』 「どうでしょう。俺がINEVITABLEではないといろんな野郎に植え付けたばかりですからね。」 『まぁ、な。』 そこでボスの発言が止まる。 こういうときは大抵傍に永橋主任がいる。 先を読み先手を打って行動するため、あらゆる方法を幾通りも考える。 その凄いところは、幾通りものパターンを一瞬で結論に結びつけるところだ。 『よし、黒川。現在の依頼は?』 「7件引き受けてます。」 『とりあえず依頼に集中してろ。期限は4日だ。全部依頼を終わらせてこい。』
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