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電話を切ると、荷物を持ってトイレで着替え、身体を伸ばして疲れを解す。 (…さてと…片付けを始めるか) INEVITABLEは誰にも執着しないのがルールだ。たとえそれが彼女だとしても。 所詮美和子はカモフラージュ。 その目でしか見てこなかった。 "守らなければいけないもの"がなくなったことで、自分に余裕が生まれる。 久々に解放された気分を味わっている自分が可笑しいところだ。 依頼分、それから長谷部だ。 「……………」 そう考えていると、視線の先にさっきの輩を捉えた。 …つーか、本当にザコだな。 頭が悪すぎる。 逃走するのに距離を稼ごうと思ったのか? だが、逃げ場のない高速より、逃げ場がたくさんある一般道が逃走には向いている。 というより、裏の人間は使わない。 …普通は、だが。 逃げ場のない、さらに言うなら監視カメラだらけの高速など、一番避けたい逃走経路。 まぁ、面倒に思いストレスも溜まる仕事の前だ。 蹴られた借りも返してなければ、自分のフラストレーションも溜まっている。 何より"警告"したしな。 数十分滞在したその車のあとを静かに追う。
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