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俺がINEVITABLEになったのは、こういう理由もある。
つまり、まったく接点がないと思われる者たちが、裏では固く手を組んでいると言う状況だ。
警察でさえ把握されてないそれら徒党が、裏の人間には簡単に情報提供してくれるわけだ。
"X"と江原チカがいい例。
江原学が"消された"今、どういう行動に出るか見物だ。
アジトの一つに寄り、いつものように汚れを落として自宅へ向かった。
「……………」
少し考え、指定駐車スペースに車を停めた。
後部座席には、先ほどボロボロになったスーツ。それを片手にエレベーターに乗る。
ドアの前、解錠した俺は、勢いよくドアを開けた。
「美和子!?美和子!」
鞄とボロスーツを玄関に投げ、リビング、ベッドルーム、バスルームなど走り回る。
そして、ソファに座って深い溜め息を一つ。
「……いるわけないか…クソ…美和子…」
項垂れた頭。覆う両目。
(…チッ!やっぱな…予想通り)
カメラはないが、なくなったはずの盗聴器が部屋の至るところに仕込まれてやがる。
走り回って確認した手元のセンサーは、全部で八つの存在を主張していた。
別れた彼女を思い、うちひしがれる元カレを演じるのも一苦労だ。
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