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しかし、どこの誰が回し者か。 思わず口角が上がってしまうほど。 俺が怪しまれていることは知っていた。 当然だろう。怪しまれるように行動してたわけだから。 最初に仕込まれた盗聴器、そこからが始まりだろう。 相手は罠に填まり、美和子を使う。 その罠というものは、 「…っと、…もしもし。」 『黒川。緊急事態だ。すぐ来てくれ。』 「分かりました。……はぁ…」 頭を整理する前に鳴り響いた携帯。 どうやら"緊急事態"発動。 相手は"ボス"。 その緊急事態を出来る限り予想すると、自分の荷物を纏めて部屋を後にした。 一度外務省に向かい、そこで繋ぎに着替え作業用車に乗って"ボス"の元へ急ぐ。 "ボス"が指定したのはアジト。 そのドアを開けると、中は騒然となっている。 そして、噎せかえるような鉄と焦げの臭いが充満。 「…弟が殺された!見ろ!」 「…どうやって?」 「車に爆弾が仕込まれていた!クソ…」 「……………」 「…お前じゃないよな?黒川。」 「…俺を疑うんですか?"ボス"」 睨み上げられたその目は、明らかに敵意を剥き出しに晒している。 悲しみにくれることを止めたりはしない。 だが、相手を選んで物を言えと言わんばかりの殺気を出して睨み返す。 大体、俺はやっていない。 "ボス"を裏切ることは契約違反。 俺は契約を尊重するINEVITABLEだ。
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