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「そう言うなら手を切っても構わない。俺がやってないという証拠はないし、証明できる人間さえいないからな。」 「…っ!」 「だがINEVITABLEは契約を守る。それを知ってるのはあんた自身だろ。あんたが俺を疑うんなら、俺は立場がなくなるだけだ。 どうする。契約破棄するか?」 自己弁護など面倒だ。 俺は俺のルールがある。そのルールを破れるはずがない。 破った瞬間に訪れるのは"恐怖"だ。 その"恐怖"を味わうより手を切った方がマシだし、こいつと手切れしても俺は痛くも痒くもない。 "ボス"? いや、この"ボス"を支配しているのは俺だ。 殺し屋INEVITABLEとしてのスキルと、付随する安心、若しくは恐怖。 仲間として取り込めば、これ以上ないバックアップ。だが敵ならば、これ以上ない恐怖だろう。 「誰を信じればいいか分からないんだ!」 「結構。では俺は退散」 「待ってくれ!お前はやってないんだな?それだけ聞かせてくれ!」 「…やってない。」 「本当だな!?」 「依頼もない奴を殺したところで、俺になんのメリットがあるんだ。その前に、俺はあんたが裏切らない限り裏切ることはない。」 自己弁護など面倒だ。だがそれ以上に、納得させるのも面倒だ。 この状況じゃ、必ず言ってくる。 「…依頼だINEVITABLE. 弟をこんな目に遭わせた奴に復讐を。」 …ほら、な。
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