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軽く了承したものの、考えなければいけないことはある。 殺された切っ掛けが、こいつのことならどうでもいい。 もし美和子のような使われ方だとすれば、Xはかなり俺に入れ込んでいると見ていい。 現場、車、日時などの詳細を聞き、すぐに行動に出る。 ここまで分かっているなら、3時間もあれば犯人の目処はつくだろうが… 「…おいおい…どうなってんだ?」 きっちり3時間後、思わず独り言を呟いた。 監視カメラ等を駆使し、犯人の特定は簡単に終わった。 …が、そいつは龍仁会の幹部。 江原学が切り捨てた人間…というか、江原チカが手足として使っていると予想される人物。 そいつを追って着いた場所は都庁。 入館するには準備不足で、仕方なく近くの高層ビルに登り全体を監視する。 最中、別のビルにいた"監視"。 少し殺気を出せば、瞬間的に俺へ視線が向いた。 そして、ニッコリ。 「…何してるんです。」 『そっちこそー。』 「…誰ですか。」 『長谷部義之だけど。そっちは?』 「倉光雄二。」 『倉光……ああ、あの爆弾魔ね。』 「知ってたんですか。」 『成り行きよ。倉光雄二、長谷部義之と面会中なのよね。都議会議員と。』 「都議会議員…?…まさか、そいつがあのバカ連中のボス?」 『そういうことだよ。』 展開についていけない。 ちょっと待てよ?だったら… 「…恵さん。これはXの罠っすか。」 『だろうね。』 …やっぱり。
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