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ボスが恵さんの行動制限をしなかった理由はここにある。
永橋主任があそこから離れないのも、池辺さんが発破掛けるのも、ボスが俺に挑発するのも、全部…全部納得がいく。
(…知ってやがったな!)
原因はプルトニウム。
Xはそれを手に入れたい。
長谷部源蔵がそれを保有していたと想定した場合、プルトニウム生成を行っていたのは日本兵。
つまり、日本も原子爆弾の生成に成功していたと想定すれば、すべての話が通じる。
「…おい。お前はどこまで知っている。」
「どこまでとは?」
「あの都議会議員は何者だ。」
「あの人はXを捜している。元々は仲間だったらしいが、何かのきっかけで仲間割れしたらしい。
それが原因で命が狙われ始め、危機を感じたあの人が攻撃を仕掛けた。
結局それも失敗に終わったらしい。」
「…倉光雄二か?」
「いや、湊川という奴だ。」
ボスの弟、あいつはXではなくこっち側の人間だったのか。
仕掛けようとしたが、逆に仕掛けられた結果の爆死がその死因だろう。
ならば、
「お前は江原チカを知ってるか。」
「ああ。」
「あのガキはXとどう関わっている?」
「僕から見たら目眩ましだと思う。本命はプルトニウム。だったら、表で大っぴらに動いている江原チカは捨て駒。
あのPSPでさえ翻弄されていたわけだから頭はいいと思うが、Xにとってどうでもいい存在。」
…だろうな。所詮ガキはガキ。
Xには目の上のたんこぶになるだろう。
気になるのは、Xがどこから戦中の情報を得られたかということ。
まさか…
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