1135人が本棚に入れています
本棚に追加
世界中でテロを起こすX。
その組織が日本人だけで構成されるものじゃないことは確かだ。
ならば、Xはどうやって権力を得ている?
情報はどこから?
なぜカリスマ的存在になれる?
「おい。その遺品とやらはどこにある。」
「大事に持っているさ。」
部屋というには遠い洞窟の奥、その片隅に積まれた段ボールのうちの一つに手を掛ける。
その中には桐の箱が入っており、蓋を開けると骨壺と数点の汚ない服、所持品であっただろう小物が幾つか。
「長谷部義之。お前は俺を信じるか。」
「……分からない。」
…ふん。
なかなか素直な答えだ。
INEVITABLE相手に、すぐに信じられると答える奴ほどただのバカだ。
かといって信じてないと言えば、俺からの評価は落ちるだけだ。
こいつはただ単に、自分の置かれた状況が把握できないまま進展していく現実に、不安と焦りと恐怖を俺にぶつけただけにすぎない。
「ならば聞こう。お前はどうしたら俺を信じるんだ。」
「……………」
「俺はお前を裏切らない。それを信じてもらうしか、お前を助ける方法がない。
ここでひっそりと暮らし、のたれ死ぬのもよし、Xに見つかって殺されるのもよし、俺を信じてついてくるのもよし。
お前の死にかたはお前が決めろ。」
「…そう言われると…選択の余地がないじゃないか…」
「色々選択させているだろ。ああ、もう一つあったか。何も信じられず、恐怖に怯えたまま自殺という手も」
「まだ死にたくない!」
…だよな。
こいつはそんなタマじゃない。
最初のコメントを投稿しよう!