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緊張ゆえの手汗をシャツで拭い、いまだに震える手で煙草を取り出した。
同時に響いた着信音。
火をつけ、通話ボタンを押す。
「…もしもし。」
『今のは?』
「俺のボスですよ。…"ボス"」
『ハハハ!緊張感が伝わってきたぞ。どこの誰かは知らんが、相当な組織の人間だろう?』
「…クライアントの情報は一切教えません。俺がすべてを終わらせるまでは"ボス"でもダメです。そう契約しましたよね?」
『分かっている。お前の腕を失いたくないからな。…例の件は頼んだぞ。』
「お任せください。」
…こいつも探りの電話だ。
飼い主は俺だと主張しているように。
だが残念。
…俺の飼い主は一人だけだ。
突然切られた電話。それをテーブルに放り投げると、ボスが持ってきたファイルを手にとって読み始めた。
詳細を頭に叩き込み、これから先の算段。
"ボス"によって仕掛けられている盗聴器を無視し、口を閉じて集中。
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