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これぞ論理による論破。 恐らく館長の頭の中は、論破するための論理が幾通り過っていることだろう。 反論すれば反論するだけ無駄足掻き。 だが、最初に放った具体的な数字により、長谷部義之はるつぼに嵌まっている。 「僅か17歳の兵士が最前線の指揮を任されていたという記録もありますしね。」 「………!」 「そのように考えるならば、長谷部源蔵も何かしらの任務があったと考え、それがプルトニウムだったなら……。 もしものたらればというものは、運転と同じです。先読みして考えて行動する。」 「……………」 「私はこう考えた。 長谷部源蔵が任務を与えられ、それがプルトニウムの隠し場所の監視だったとして、その場所を示す何かを渡されているんじゃないか? Xはそれに気付き、奪おうとしてるんじゃないか?では、その場所を示す何か。それはどこにあるのか? …当然、遺品です。」 「…あっ!」 「言いたいことは分かりましたか?」 呆然としながら頷いた長谷部。 見事としか言い様のない論破。 「恐らく、あなたは遺品をご覧になっていることでしょう。もしそれを見付けているのであれば、INEVITABLEにメールすることもなかったでしょうね。 だったら、目にとまらないほどの極小サイズでしょう。 長谷部さん。遺品をスキャンにかけても宜しいですか?触れるのも見るのも最初で最後とお約束致します。」
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