1135人が本棚に入れています
本棚に追加
そのドアを開け、中に入る。
「よぉ。結果が出た。」
「本当か?」
「ああ。恐らく予想通り、隠し場所の在処を示した地図だろう。」
「…そうか。確認したい。」
「別にいいが、お前が見ても分かるようなシロモノじゃないぞ。」
要求通りに地図を見せてやるのと同時、ドアにノックの音。
入室を許可すると、別の結果が記された報告書。
一通り目を通し、チラッと長谷部義之を見る。
「…これが地図?」
「ああ。どこにあるかもそれが教えてくれた。長谷部源蔵には感謝する。
ほら、返せよ。Xに見つかる前にそいつを回収しなきゃならんからな。」
「え、お前どこに行くんだ?」
「だからこいつを回収しに行く。」
「回収しに行くのは分かってる!どこまで行くんだ?俺はどうなる?」
「お前はここで大人しくしていろ。外に出たらまた殺されそうになるからな。特に遠い訳じゃない。すぐ戻る。
そうだ。お前も地下だけなら自由に出入りすることを許可しよう。」
どこまでもバカな奴だ。
途中までは完璧な演技だったのに、一つボロを出せばこの有り様だ。
「じゃあな」と呟くと、部屋を出て駐車場に向かって歩き出す。
その出入り口付近に身を隠し、気配を消して目を閉じ、待つこと数十分。
まんまと出てきたバカな男。
最初のコメントを投稿しよう!