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その時、バタン!と音を立ててドアが開き、向こうから館長の部下が現れた。 「INEVITABLE.」 「なんだ。」 「湊川はこちらに任せ、あなたは先に行動しろと言われました。」 「……………」 「どうされますか。」 おーおー。 さすが館長。先を読むなぁ。 そうだ。こいつに構っている暇などない。俺にはやるべき事がたくさんある。 「…こいつは外に出せば終わりだ。」 「分かってます。絶対逃がしません。」 「じゃ、館長に任せると伝えろ。」 「はい。」 「おい。お前。俺はずっと見ているからな。次はない。必ず地獄に落としてやる。」 湊川の持っている情報を聞き出すのは、これで容易くなっただろう。 ここは素直に館長に任せて… 「…って。お前はなんだ。」 「か、館長命令でINEVITABLE殿と同行しろと!田中といいます!宜しくお願いします!」 「……………」 …何を考えてるんだ。あの館長。 同行命令を出されたと言ってこの場に留まった男は、何とも素人臭いガキ。 「必要ない。INEVITABLEは一匹狼だ。」 「えっ!でも命令で!」 「お前は死にたいのか?」 「死にたくはありません!」 「なら帰れ。」 「無理です!」 …頭痛がする。 これ以上言い合っても時間の無駄。 思いっきり溜め息を吐き車へ歩を進めた。 後ろからついてくる足音を聞きながら。
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