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まぁ、読めなくはない。 恐らく館長は、マイクロチップの情報を知った直後、自分の部下に命令して回収に向かわせたはずだ。 わざわざ俺が確認しなくても、いずれ日本に持ち込まれることになる。 あれは日本の"財産"だ。 それからXの企み。 あいつはプルトニウムを利用して、何かを起こそうとしている。 もしくは利用されているだけ。 世界中のテロは、ニュースを見る限り現在も続行中だ。 世界を敵に回してまで起こそうとしている何か。 そして、横の繋がり。 Xに関わっている人物から推測するに、俺はXに近付いている。 それを阻止すべく、次々現れる人物。 "あの時"の恵さんが言った怪しい言葉と行動は、Xの断定へと導く道標。 「…黒川さん。どこに向かっているんですか?」 「俺のボスのところだ。」 「…え。」 「奴は契約を無視した。」 「ちょ、待ってください!」 「俺のやることに口出しするな。今すぐここから降ろしてやってもいいんだぞ。」 「っ!」 とりあえずはボス。 既に警告は終わっている。 しかし、反応さえないところを見れば、俺の思うところも先の考えも正解だろう。 猛スピードで走って到着したアジト。 躊躇することなく上へ駆ける。 田中も大したものだ。俺の足に必死でついてくる。 それより先に辿り着いたドア。 ガンホルダーからマグナムを抜きながら、そのドアを開け、同時に安全装置を外して銃口を向ける。 「…よぉ黒川。いらっしゃい。」 「……………」 広いデスク。大きな椅子。 その椅子に腕と足を組んで鎮座するボス。 その背後には、次長。 そして、永橋主任と池辺さん。 四人揃ってクスクスと笑い、銃口を向けている俺に動揺さえしない。
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