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その襟を掴んでいた右手に力を込め、思いっきりドアの外へと投げ出すと、おまけに蹴りを加えて距離を取らせてドアを閉めた。
「なっ!黒川さん!開けて!」
「お前は邪魔だ!引っ込んでろ!」
「黒川さん!」
ドンドンと叩く音と叫び声が聞こえる。
それを聞いた四人が体勢を整え始める。
「…へぇ?黒川。お前は一匹狼じゃなかったのか?いつのまにか仲間ができたんだ?俺は聞いてねぇぞ?お前こそ契約不履行じゃねぇか。」
「仲間なんかじゃねぇよ。」
「じゃあ何で助けたんだ。わざわざ俺らから遠ざけといて、説得力もくそもねぇ。」
「勝手についてきた野良だ。」
ビュオッ!
空を切る鋭い蹴り。
それをギリギリでかわすと、別方向から拳が飛んでくる。
止めた反動を使って距離を取るも、二つの銃口がこちらに向けられ、慌ててデスクの陰に隠れ難を逃れる。
「…すばしっこいな。」
「感心する運動量だね。ま、そこから出てきた途端終わりだけど。」
「ボスに銃を向けるなんて、どういうつもりだ?INEVITABLE.」
「は!警告はしただろ。大体表向きは健全なIT会社が、裏じゃこんなことしてるなんてことが世間にバレたらどうするつもりだよ。」
「バレる?…それこそ有り得ない話。」
挑発を加えても無駄、か。
まぁ、確かに有り得ないだろう。手腕の永橋主任がいるなら、揉み消すのは安易。
「っつ!」
「あ、かすった!」
「致命傷になりそうなところを見せない。狙いは全部かするだけだ。」
「弾の無駄ってやつ?」
「おいおい。俺たちはINEVITABLEに命取られそうなんだぞ?緊張感もてよ。」
「四対一でどうやって勝てるんだ?」
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